逆浸透(RO)膜浄水システム
「逆浸透膜」を利用した浄水システムのことをRO浄水システムといいます。ROとは、英語のReverse(逆)とOsmosis(浸透)の頭文字をとったもので、限りなく水分子のみを透過させるように作られた逆浸透膜(ROメンブレン)フィルターを使用し、水から不純物を除去する先進の浄水技術です。
1950年代から、アメリカでこの逆浸透(RO)膜を利用し、海水を淡水に変える研究が行われてきました。その後開発が進み、世界各地で海水淡水化プラントや装置の実用に供するようになりました。逆浸透(RO)膜を使用すると、通常の浄水器ではろ過できないような、水に含まれるイオン、金属、硝酸態窒素、亜硝酸態窒素、ウイルス等も除去できる為、非常に高いレベルの浄水システムをつくる事ができます。
現在ではこの技術を使用し、ISS国際宇宙ステーションや大型客船にも浄水システムが搭載されています。その他、緊急時・災害時の飲用水の確保にも、ルワンダ、カンボジア、イラク・サマーワでのPKO活動の際、隊員の飲用水確保や給水活動にも活用され、今や逆浸透(RO)膜の技術は、最も安心できる浄水システムとして、全世界80カ国以上で利用されています。
アラブ首長国連邦にある海水淡水化プラント
逆浸透(RO)膜方式による「ろ過」のメカニズム
逆浸透(RO)方式では、液体の「浸透」という現象を利用しています。純水と塩水を細胞膜のようなごく小さな穴の空いた膜(半透膜)で仕切られた容器に入れると、浸透圧の差により、純水側から塩水側に水の分子が移動し、塩水側の水位が上がります。これは、濃度を均一に保とうとする「浸透現象」と呼ばれる水の性質です。このとき、塩水側に圧力をかけると不純物を含んだ水の中から水の分子だけが膜を通り抜け、純水を取り出すことができます。このように、原水(不純物を含んだ水)を加圧することで「RO水(きれいな水)」と「濃縮排水(不純物を含む水)」とに分離する方式を逆浸透膜方式と呼んでいます。
このとき、塩水側に圧力をかけると不純物を含んだ水の中から水の分子だけが膜を通り抜け、純水を取り出すことができます。このように、原水(不純物を含んだ水)を加圧することで「RO水(きれいな水)」と「濃縮排水(不純物を含む水)」とに分離する方式を逆浸透膜方式と呼んでいます。
逆浸透膜方式では、一般に逆浸透膜を使用したフィルターと並行に加圧した原水を送り込み、RO水と濃縮排水に分離するクロスフローろ過方式が採用されています。不純物を含んだ水は浄水システム本体内に通り抜け、濃縮排水として排出されるため、フィルターが目詰まりしにくいだけでなく、原水に何らかの汚染物質が含まれていたとしてもフィルター内に残留しにくく、衛生的で他の浄水器と比較してフィルターの交換サイクルも圧倒的に長くなるため、ランニングコストを抑えることにも貢献します。
ROメンブレンフィルターとは
逆浸透膜浄水システムに使用されるフィルターは、「ROメンブレンフィルター」と言い、主にセルロースでできています。フィルターの膜には、0.0001ミクロンという水分子1つとほとんど同じ大きさの小さな孔が開いていると言われています。実際には、分子や原子レベルの大きさのものは電子顕微鏡で見ても常に振動しており、大きさを測ることはできません。この孔には細菌やウィルス、人体に有害な物質などの不純物も通ることができないため、現時点では最高レベル除去性能を持つフィルターと言えます。
浄水システムによる除去性能の違い
浄水に使用されるフィルターにはそれぞれ除去可能な物質の大きさが異なります。ROメンブレンフィルターは、現時点でどのフィルターよりも最も不純物を除去することが可能なフィルターと言えます。