#004 水の安心について②
水道水とミネラルウォーター
「水道水とミネラルウォーター、どちらが安心できますか?」
こう尋ねられたとき、多くの方が「ミネラルウォーター」と答えるようです。
昨今、水道水は飲まずに、市販や宅配のミネラルウォーターを飲む方が増えていることからも、この傾向は伺い知ることができます。
ペットボトルのミネラルウォーターが爆発的に普及した背景には、水道水への漠然とした不安があるのかもしれません。
ところが、法律に定められた品質基準を比較すると、ミネラルウォーターよりも水道水の方が遙かに厳しく、安全性が高いことに驚かされます。
これは、ミネラルウォーターが、食品の中で清涼飲料水として分類されているのに対し、水道水が国民の生活を支える重要なインフラとして位置づけられていることに起因しています。
このため、それぞれの品質基準は、前者は食品衛生法(昭和22年 法律第233号)、後者は水道法(昭和32年 法律第177号)と、異なる法律によって規定されています。
水道水の品質基準項目が51項目なのに対して、ミネラルウォーターは39項目。個々の表で見ているとわかりにくいのですが、基準値にも大きな差があります。
水道水とミネラルウォーターの水質基準の違い(部分)
ミネラル類はえぐみや苦みのもととなるため、硬度の高いミネラルウォーターは、調理や、お茶、コーヒー類に不向きだと言われ、あくまで好みに合わせて、飲料水として利用する方が無難でしょう。
鉛やヒ素、カドミウムなどは、自然界に普通に存在する物質で、地下水などの天然水には必ずといっていいほど溶け込んでいます。また、ホルムアルデヒドなどの有機化合物も、大気中などに広く存在することが知られています。
このため、天然水を採取することで商品化しているミネラルウォーターで、これらの基準を厳しくしてしまうと、商品として成立させること自体が難しくなってしまいます。
これに対し水道水は、国民の重要な生活インフラとして、各地域の浄水場で原水をろ過、消毒し、安全な水として配水することを前提としているため、ミネラルウォーターよりも遙かに厳しい水質基準が定められているのです。
食品(清涼飲料水)であるミネラルウォーターと、生活インフラである水道水には、これだけ大きな違いがあるのです。