#006 水の安心について④
理想的な蛇口浄水のカタチ
前記事「より安心できる水を求めて」で触れたように、水を取り巻く様々なリスクを排除して、本当に安心できる水を確保するためには、蛇口から出る水道水を、その場で浄水する必要があります。
市販されている様々な浄水器や浄水システムは、すべてこの考えに基づいて作られていると言っていいでしょう。
しかし、浄水に使用するろ材(フィルター)の性能や性質によって、除去性能(水からどれだけ不純物を取り除けるか)と、造水能力(一定時間にどのぐらいの量の水を取り出せるか)には大きな差が出てきます。
■ ろ材(フィルター)の種類ごとの除去性能の目安
一般に、ろ材の除去性能が高くなればなるほど、ろ材のコストは上がり、逆に造水能力は低下する傾向にあります。これはろ過する仕組みが単純なほど、ろ過にかかる時間も短くなるからです。
上の図からは、ROメンブレン(逆浸透膜)フィルターの除去性能が、他を圧倒していることが見て取れますが、ROメンブレンフィルターは、その除去性能の高さゆえに、取り出せる水の量が少なくなり、実用的な造水能力を確保することが難しくなってしまいます。
この問題を克服するために、逆浸透膜浄水器は、大きく分けて次の2つの系統に分かれています。
- ① 造水能力の低さをカバーするために、使用していない時に浄水しておき、シンク下などに設置した専用タンクに水を貯めて、そこから取り出して利用するタイプ
- ② フィルターの多重化など、造水能力を高める工夫をすることで、貯め置きせずに直接浄水した水を利用できるようにしたタイプ
フィルターの多重化は、ろ材のコストだけでなく設計も難しくなることから、現時点で一般的なのは①のタイプです。シンクの下に大きなタンクが設置されるため、一目でそれとわかるタイプです。
ただし、このタイプは浄水を一度タンクに滞留させる仕組みになっており、タンク自体が汚れたり、水を押し出すためのゴム製の弁が劣化すると、せっかくきれいにした水に、汚れやゴムが溶け出してしまうことが知られています。このため、定期的なタンクの洗浄や部品の交換が不可欠です。
本当に安心できる水を確保するためには、蛇口から出る水をその場で使う分だけ徹底的に浄水することが望ましいのです。
やはり、蛇口浄水にこだわるなら②の直接浄水した水を利用できるようにしたタイプが理想的だと言えるでしょう。